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た国だからです。」と答えています。移民としてその国にやって来た時に、暖かい手を差し伸べてくれたその精神が今でも続いているのではないか、というような気がします。
私は実はキューバからの移民で、11才の時にアメリカに渡って来ました。その時に親切にして頂いた人達にお返しをしたいと、そういった気持ちが常にあり、私のボランティア活動が始まった1つの理由だと思います。
私は今ボランティア活動のディレクターをしております。日本でもボランティア活動のディレクターやその代表として活動していらっしゃる方を、私自身とても尊敬しております。これは企業を経営するのと同じ才能、経験が要るからです。
企業の場合は自分達が上げた利益というのは自分のポケットに入れますけれども、NPO(非営利)の団体の場合は、この得た利益は地域または会員に還元します。
●タイムダラーの役割
タイムダラーは今までのボランティアとは、このようなところがちょっと違うというお話をしたいと思います。タイムダラーはとてもシンプルなシステムです。今まであるいろいろなボランティアを結びつける役割をします。
タイムダラーのシステムは、サービスとサービスを交換するシステムで、昔の共同体での互助をシステム化したもので、決して新しいものではないかも知れません。
タイムダラーというのは、行政と企業、それから地域・コミュニティ・共同体を結び付ける役目をし、よいサービスが提供出来るシステムです。
また、タイムダラーはこの8年間の間にいろいろなところに浸透しておりまして、ハワイを含むアメリカでは39の州、最近では福祉大国のデンマークにもタイムダラーのシステムが取り入れられています。そして日本にもです。
先程申しましたけれども、行政・企業・共同体・市民が一緒になって1つのサービスを形作ることにより経費が少なくてすみますし、1つのサービスをより効果的に人々に与える事が出来ます。
行政は公平であるために、時には1人ひとりには公平にならないというようなお話がでておりましたが、タイムダラーのシステムを企業の人達と市民とで一緒にやっていく事によって、行政が埋められないでいるギャップを埋め、サービスの質の向上にも繋がっていくと思います。
●タイムダラーは専門家の仕事も生み出す
タイムダラーは福祉サービスのみに関わっているわけではありません。人と人、地域・共同体とが一体となって出来る様々なサービスの提供が可能となります。
ボランティアが盛んになってくると、既にある専門家、例えばホームヘルパーや、ソーシャルワーカーの仕事を取るようになるのではないかと、よく言われますが、決してそうではありません。タイムダラーのボランティアはソーシャルワーカーなどの専門家の人達の目や可となってよりよいサービスを1人ひとりのニーズに合わせて出来るということを、主張したいと思います。

 

 

 

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